LIDAR UAVを利用した古墳調査(レーザー ドローン)

平成30年11月に津村宏臣さん(同志社大学准教授/真庭市政策アドバイザー)を中心に真庭市様と同志社大学様が合同で行われた荒木山古墳調査に当社も協力させて頂きました。

長さ300m、幅120m、高さ20m程度の規模の丘に東西2つの古墳を有しています。古墳部分の下草はきれいに刈られていましたが、植生がかなり高く枝葉も繁茂している状態でした。

通常は国土地理院の5mメッシュで飛行計画をして調査に行くのですが、対地高度もなるべく低く設定するために事前にUAVを飛行させSFMでDSM(樹木の高さを含んだモデル)を作成して、UAVと樹木とのクリアランスを確認しての飛行としました。

取得したオリジナルデータにオルソから色付けしたものですが、これではSFMでの点群と変わりませんね。

 

毒々しい(笑)色ですが、フィルタリングをして地形を残したものです。

東西2つの古墳も形状がはっきり見えていますので一安心しました。

あとはGISソフトに取り込んで立体地図的な表示や等高線の発生をしていきます。

津村先生は地上レーザー(SLAM)や磁気探査も行われていましたので、今後はそれらのデータとUAVレーザーの結合をする予定です。楽しみですね!

Phantom4 RTKのPPKをRTKLIBで解析してみた

いま話題のPhantom4 RTK(P4Rと呼びます)の生データを頂いたのでPPK解析をやってみました。

実際にP4Rおよびコントローラ等の操作はしていませんので今回は解析だけのお話です。とりあえずインチキは嫌いだしDJIの代理店でもないので中立的に検証してみました。

今回の解析ではRTKLIBというオープンソースGNSS測位プログラムパッケージを使用します。このプログラムはマジで凄いです!フリーで使わせて頂けるなんて皆様幸せものです。東京海洋大学の高須知二さんに感謝しましょう!

 

P4Rで撮影したSDカード内には写真の他にRinexとタイムスタンプのファイルが作成されるのでこれを使用します。バイナリファイルも2つ作成されていますが、これは今回使用しません。

ジェノバ等の電子基準点データのダウンロードサービスから現場に一番近い電子基準点のデータをダウンロードします。

こんな感じでファイルが出来ます。拡張子18g(glonass),18n(gps)が衛星軌道情報ファイルで18oがRINEXファイルです。

 

RTKPOSTを起動して

  • RINEX OBS:Rover に P4RのRINEXファイル
  • RINEX OBS:BASE Station に ダウンロードした電子基準点データのRINEX
  • RINEX NAV/CLK… にダウンロードした衛星軌道情報ファイル
  • 一番下のところに解析後の出力ファイル

を指定します。

 

Options_setting1

こんな感じですが、残念ながら今回頂いたデータではGPSを使用した解析しか出来ませんでした…。P4RのRINEXファイルにはGPS/GLONASSちゃんと入ってて、おまけにGALILEO/BDSまで入ってるのに…もったいない。

GLONASSを有効にすると全くFixされず色々と設定を変えてみてもダメ。結局GPSだけを使用した解析になってしまいました。誰かいい方法を教えてください!

他の現場で検証すれば原因もわかるかもですが、P4R持ってないからしょうがありませんね。※追記 他の現場データではGLONASSありで解析できました!

 

Options_setting2

 

Options_Output

  • Time FormatはP4Rに入ってたタイムスタンプのフォーマットと同じものにしておきます
  • Datum/HeightはWGS84,Geodetic
  • Geoid ModelはGSI2000 FilesタブのGeoid Data Fileでgsigeo2011_ver2.ascを指定

 

Options_Positions

  • Base StationはRinex Header positionで

 

こんな感じでOptionを設定したらExecuteしてファイルを作成してください。

できたファイルをRTKPLOTで表示してみると

な感じになってます。衛星数が少ない…GLONASSが使えれば5つぐらいは増えるのに。

 

P4Rは5Hz(0.2秒間隔)で位置座標を記録してるので、タイムスタンプファイルの時刻を参考に線形補完で、EXCELとVBAを使って力技で写真に位置座標を与えていくとPPK解析の完了です。QGISで表示させたのが

  • 緑がPPK処理した5HZのもの
  • 赤がPPKのタイムスタンプから線形補完した撮影位置
  • 青がネットワーク型RTKでの撮影位置

微妙にずれてますね。ここで水平距離で2.9cmです。RTKの撮影位置はレバーアーム(GNSSアンテナとカメラの中心まで位置)が考慮されているそうですが、PPK処理した位置座標には考慮されていません。(GNSSアンテナ位置のみ)

タイムスタンプファイルにはレバーアームによる緯度・経度・高さ方向の補正値も入っていますが、それらを考慮して撮影位置を計算した場合は、RTKとPPKの撮影位置は水平方向で平均1cm以内ですが、垂直方向では平均8cm程度もでてしまいます。

DJIのHPでスペックを確認すると映像位置オフセットとして進行方向に36mm、垂直方向に192mmとあります。また写真にレンズの情報が書き込まれていると紹介されていますが、焦点距離と写真中心位置しか書き込まれていませんし、この焦点距離でSFM処理すると全然対象物の高さが違ってしまいます。 ※追記(レンズ情報が書き込まれているjpgと書き込まれていないjpgがありました。dronedji:3657.320000000000,3650.810000000000,4.610000000000,32.390000000000,-0.265944000000,0.109387000000,-0.000330959000,-0.000026620400,-0.031194200000 これで処理してもダメでしたが…。)

 

撮影位置を固定した場合はSFMソフトの各種設定も、通常の場合と設定数値を変更やレバーアームの入力をする必要がありますし、セルフキャリブレーションを行う場合には高度45m程度でも焦点距離が0.01mm推定が変わると地上では5cm変わってしまいます。

P4Rを使用する場合は事前に無限遠にしたレンズキャリブレーションを複数回行い、それを前提にSFM処理をする必要があるでしょう。または、数点は既知点を作成してその標高から焦点距離を割り出すとかの裏技が必要だと思います。とりあえずカメラのキャリブレーションが肝ですね。

※その後自分で飛行させた検証では、セルフキャリブレーション(焦点距離)の推定がしやすい撮影を行うことで、事前のキャリブレーションは不要なレベルになっています。また、レバーアームも考慮した計算を行うことでネットワークRTK、D-RTK2と同等の精度を出すことが可能になりました。

 

これらも考慮してPHOTOCANで処理した結果(焦点距離は割もどし計算してますが)

このような結果が出ました。もちろんGCPはSFMの処理には使用していません。(GCP精度も10mにしています)また、データ一式もらっただけなのでGCP自体の精度もよくわかっていません。

ネットワーク型RTKでの結果とほぼ同じでした。GPSのみでこの結果は正直凄いと思います。ただ衛星の配置や解析でGLONASSが使用出来るか等の条件で、精度が良くなったり悪くなったりするかもしれません。購入するのであればこの辺は検証点をおいて何度も検証する必要はありますね!

ここまでのPPK処理は正直めんどくさいですが、今後は販売店さんが自動的に解析してくれるアプリを発売されるそうですから期待ですね!

 

Phantom 4 RTKが凄い事はわかりましたし、モバイルステーションを使用するDRTK2もデータ検証に少し付き合わせて頂きましたがコレもヤバイです(GALILEO/BDSも全部使ってやるからなあ、やっぱり今ひとつのポイントもありましたが…)

ただウチは自動飛行アプリのライチが使えないので、これじゃあ仕事にならないのでいらないです(笑) 早く自前のタブレットを使えるようにするか、自動飛行経路のインポート機能がほしいですね~。

LIDAR UAVの災害時の利用について(レーザー ドローン)

平成30年7月豪雨災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害にあわれた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

近隣の自治体においても多くの被害があり、降雨後すぐにUAVを使用しての調査のお手伝いをさせて頂きました。その中でレーザー搭載UAVの活用をご紹介します。

この現場は高低差約100m、延長約140mであり、被災箇所の道路全体が周りの土砂と一緒に滑ってしまっており、断面図や平面図を通常の作業で行うとかなりの作業時間がかかる事が予想されます。

まずは災害箇所の範囲と原因となる箇所を把握するため、小型ドローン(DJI MAVIC)を使用して災害全景写真を静止画や動画で撮影し今後の撮影範囲を決定します。

これにより想像以上に被災箇所が大きい事が確認できました。

地上から見える範囲の被災箇所

 

上空からだと被災箇所上部に亀裂が見られる

 

 

現地において国土地理院の5mメッシュ標高を元に、レーザー観測に適した対地標高で自動航行のルートを作成します。

 

写真計測から得られたデータは

このような感じで目視できる範囲のデータは作成できますが、地面のデータは取得することができません。

 

レーザー計測から得られたオリジナル(計測したそのままの)データは

樹木の下の地面のデーターを取得することが出来ています。

 

不要なデータをフィルタリングし、地面データのみにしたものが

地面データを元にTINモデルを作成し、コンタ(等高線)を発生させた状態です。この状態でさらに手動で不要点のフィルタリングを進めていきます。

 

作成したデータをGISソフトで表示したものが

オルソ写真とコンター

立体地図的な表示

3D表示

これらを元に資料を作成し、事前協議資料として納めさせて頂きました。

従来の作業と比べて大幅な作業時間の短縮と、感覚的にわかり易い資料が作成出来たと思っています。

 

 

 

 

 

LIDAR 用UAVユニットを用いた簡易MMS(自転車)   ( レーザー ドローン )

UAVにセンサーを装着する場合、センサーを任意の場所に持って行くためにUAVを使用しているとの考えで運用しています。

UAVから撮影した写真からのSFMを行う場合も、カメラ(センサー)の知識が重要であるため今までもカメラについての知識や経験を多く積んできました。

同じくLIDARもセンサーとして知識を得て経験を積むため、UAV搭載に限らず運用したいと考えていました。

弊社で使用しているLIDAR 用UAVユニットはIMUが内蔵であり、GNSSアンテナやバッテリーを準備さえすればUAVに搭載するだけではなく、他の方法でも運用が可能であります。

車両等に装着する事を考えましたが、マウントの方法や振動対策等で頭を悩ませる事が予想されるため、他の方法として背負子(しょいこ:背負型キャリア)にLIDARユニット・GNSSアンテナ・バッテリーを装着して自転車でのデータ収集を行いました。

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車両での運用を考えた場合、LIDARの計測速度(5m/s 時速18km/h)での走行は他の一般車両に迷惑になりますが、自転車での走行ではちょうど良い速度であり一般車両に迷惑がかかることはありません。

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UAVで運用する場合と大きく違うのは、建物等があるためGNSSの補足が厳しく、またマルチパスの影響を受けやすい事です。

PPK後処理の解析の中で計算方法を変更したり、初期姿勢(イニシャライズ)の方法を変更することで、ある程度満足のいく結果を得られるようになりました。

4任意の断面抽出

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5

上記のようなデータが走行時間7分程度で得られました。正直驚きました!

上からはUAV、下からは自転車を使用する事で片方だけでは得られなかったデータを取得することが可能になります。

また、大型になってしまうLIDAR用のUAVの飛行はリスクを伴うため、場所に応じて自転車等の簡易MMSを使用してコース設定を綿密に行えばある程度のデータ取得が可能となる事がわかりました。

 

LIDAR UAVを用いた森林資源の調査 ( レーザー ドローン )

院庄林業株式会社様と共同で森林資源の調査を行いました。

院庄林業株式会社様の地上型LIDAR・人の手による毎木調査、弊社のUAV搭載LIDAR・ノンプリズムを用いた樹高測定で検証を行いデータの正確さやコストを比較しました。

今回は人の手による毎木調査・UAV搭載LIDAR・ノンプリズムを用いた樹高測定において比較しますが、今後は院庄林業株式会社様の地上型LIDARのデータをもとに情報交換等も行う予定にしています。

今回のフィールドは面積6600㎡で、多数が桧で杉も混じった森林です。LIDARについては対地速度3m/sで飛行し、高度は40mで自動航行を設定しました。

 

Lidarで取得したDSM(オリジナルデータ)を標高段彩で表示

樹木下に熊笹が植生していましたが、ある程度地盤データも取得が出来ています。

 

上記のオリジナルデータからフィルタリングを行いDEMデータを作成しました。

GISソフトでDSMとDEMの標高差である樹高レイヤを作成し、標高段彩を繰り返し表示させ、地上開度・傾斜図等と重ねて判読図としました。

杉と桧は葉の付き方が違うため同じようには判読できません。

杉は三角錐状に繁茂するため頂点の判読は簡単ですが、桧は葉が開くように繁茂するため画像での判読が難しいのです。ただ、樹種の判読は一目瞭然ですね。

オルソ写真のみでは桧の頂点は判読が困難ですが上記のレイヤをオーバーラップする事で頂点の判読が可能になりました。

 

頂点へポイントデータを作成し、樹高レイヤから樹高を転記しました。

その後エリアと樹種を入力し、検測用としてノンプリズムを用いた実測樹高値も入力しました。

人の手による毎木調査での本数が528本であり誤差は3%でした。

上空からでは頂点が埋もれて判別が不可能なものもあるため予想どおり少なく算出していたようです。

また、ノンプリズムによる実測樹高値との比較では誤差が2.7%(RMS)でしたが、実際にはノンプリズムで樹木の頂点部分の計測は難しいため実測値にも誤差を含んでおり、大きく値が違わなかったので傾向としては問題無いと思われます。

現地作業は計測・準備等合わせて二人で1時間、内業では飛行計画や樹木の判別作業・まとめで一人で1日半程度であり、従来の作業日数(3人/ha)と比較してもあまり変わらないものとなりました。

今後、内業での頂点判別作業をAI等で自動化するなどできれば作業日数を短縮することも可能となるでしょう。

※QGISを使って自動で頂点判読できるようになりました。作業時間は一気に短縮できますね!

レーザー ドローン

研修旅行2018

4月19日(木)~21日(土)、2泊3日で
静岡県の伊豆地方へ研修旅行に行ってきました。

3日間とも天候がよく、富士山を毎日拝めることが
できました。
集合写真

 

 

 

 

 

この旅行をとおして、社員一同リフレッシュ!
再び日々の業務に務めていきます!!

LIDAR センサー搭載UAVの導入 ( レーザー ドローン )

LIDAR(レーザー)センサー搭載UAVを導入し、現在検証作業を行っています。

まずは河川で実測断面図が存在するエリアでデータ収集してみました。

30m高度でコース間40m程度、飛行速度は2m/s、レーザー入射角が45度程度としてコース間のサイドラップは約30%です。

自動航行はライチを使用しました。(飛行時間約10分)

以前からドローンの高度計の精度が心配だったのですが、予想通りの低精度でした。

PPKで自己位置の処理を行っているのですが、30mでの飛行予定に対して25mなので83%程度となっていました。また飛行中も高度は一定ではなく約2mの低下が見られます。今後はこの辺りを考慮しての高度設定が必用になります。

速度も検証してみましたがこちらは大きな誤差は見られませんでした。

 

LIDARで取得した点群を反射強度で表示しています

 

SFMでもデータ取得し、同時に表示しました(赤:SFM、白:LIDAR)

実測断面を取得した測点間において10㎝幅でデータを抽出しています

これらを実測断面図と重ねて比較しました(青:LIDAR 赤:SFM)

左岸側に雑草が大きく茂っていましたが、ある程度は地盤データを取得出来ています。

右岸側では遮るものが無く、断面方向が伐採されていたので綺麗に地盤データが取得できていました。

 

このように下草が茂っている場所では当然地盤データは取得できません。

今後も色々と検証を続けていきます。

ドローンの飛行に係る新たな許可・承認を取得

3月7日、当社はドローン(UAV)の飛行に係る新たな許可・承認
を取得しました。

平成27年12月10日施行の改正航空法により、ドローン(UAV)
を飛行させる空域によっては所定機関による事前の許可、及び承認
が必要となっています。

当社ではこれに対し、以下の日本全国包括飛行許可・承認を得ており
ますので柔軟な対応が可能です。

<平成30年3月7日付け許可・承認>
阪空運第12831号・阪空検第5107号

【許可及び承認事項】
・人又は家屋の密集している地域の上空
・夜間飛行
・目視外飛行
・人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行

【許可承認の期間】
平成30年3月8日から1年間

【飛行の経路】
日本国内の地表から150mまでの空域のうち、飛行禁止空域
を除く空域

【操縦者登録】
2名

【機体登録】
5機

当社の空撮業務については、空撮業務ページをご参照ください。
今後もオーエスエーの空撮業務をよろしくお願いします。

とんど焼き2018

1月15日(月)当社にて、とんど焼きを実施しました。

今年は昼過ぎからの開始で例年より早い時間帯でのスタートです。スタート

BBQの食材は、社長自らが準備しオモテナシ。社長

美味しいお肉やお餅を頂き大満足です。BBQ

積上げた正月の松飾り・連縄(しめなわ)が点火を待っています。疑似空撮1

そして点火!!疑似空撮2

社員一同、神聖な炎にあたり身も心も温まりました。
無病息災を祈り終え、オーエスエーは(株)PICとともに
今年も地域社会への貢献に努めてまいります!!

遺跡調査でのチャレンジ

遺跡調査においては、UAVの低空飛行での撮影や手持ちカメラ等を併用して撮影し、平面・立面オルソ等の図面を作成しています。

今回もいつものように現場の下見に行ったのですが、立面オルソが必用な現場に案内して頂きビックリ!説明撮影距離(カメラと被写体との距離)が50cm程度しかありません。オマケに深さは2m。

しばし呆然としましたが、気を落ち着けスマホの計算機でオーバーラップの計算。
カメラの横移動距離は50cm、縦移動距離が15cmと出ました(笑)
おまけに地上解像度は0.14mm!

人間が入って撮影するとボク厚みの分(笑)だけ撮影距離が短くなるので、いつもの長い一脚に天地逆にカメラを取り付ける治具を作成。

当日はジオリファレンス用基準点を数か所観測しさっそく撮影に入ります。
周りを何周か高さを変えて撮影後、作成した治具を取り付けカメラをつり下げた状態で数百枚の撮影。
なかなか忍耐が必用な撮影でしたが何とか終了。

事務所に戻っての処理ですが、他の仕事があったのでメインPCが使用できずノートPCが2日ほどヒーヒー言って頑張りました。
3Dモデルの作成、平面・立面のオルソフォト、DEMデータを使用した陰影図も完成です。

説明2

下見の時はヤバイかなあと思っていましたが何とかなるもんですね。
いい経験をさせて頂きました!